三国志の壺

草船借箭
時は、曹操が北方を統一、勢いに乗って南下、八十万の大群を率いて、
長江の北岸の鳥林に駐屯し、呉との決戦に備えていた。

その時、周瑜率いる五万の呉軍は、長江の南岸の赤壁に駐屯していた。
両軍は、長江を挟んで対峙して、一発触発状態だった。

周瑜は、いつも諸葛亮の優れた才能に嫉妬していた。
ある日、周瑜は、諸葛亮に軍事について相談する。

周瑜「諸葛亮先生、私たちは、今曹操軍と争っています。
    水上戦で、一番有効な武器は、何だとお考えですか?」

諸葛亮「それは、やはり弓矢でしょうな。」

周瑜「さすがは、諸葛亮先生だ! 私の考えと同じです。
    しかし、我が軍は今、矢不足なのです。
    そこで、諸葛亮先生に十万の矢を作って頂きたいのですが・・・
    よろしいでしょうかな?」

諸葛亮「提督のお申し出、どうして断れましょうか。
     それで、いつまでにご用意すればよろしいのでしょうか?」

周瑜「十日で作れますでしょうか?」

諸葛亮「間もなく、曹操軍と交戦状態になると言うのに、
     十日も掛けていれば、大事を逸する事になるでしょう。」

周瑜「では、諸葛亮先生は、何日で作ることが出来と言うのでしょうか?」

諸葛亮「三日もあれば十分です。」

周瑜「この、軍の急時に、ご冗談はお控え下さい。」

諸葛亮「何をおっしゃる。提督にどうして、冗談など言えましょうか。
     もし、三日で作れない場合は、甘んじて軍罰を受けてましょう。」

周瑜「分かりました。そこまでおっしゃるのなら、この誓紙に署名して
    いただきましょう。」

諸葛亮「よろしい。」

諸葛亮「今日は、もう遅いので。これで失礼致します。」と言うと、
     行ってしまいました。

魯粛「十万もの矢を三日以内に、どうやって作るつもりなんでしょうか?
    諸葛亮先生は、まさか嘘を言ったのでしょうか?」

周瑜「それは、私の知るところではないし、彼が自分で言い出した事で、
    私が無理やりに言わせたのではないよ。
    もし、矢が完成してない時は、軍律に照らして、処罰するだけの事。
    魯粛、お前は、諸葛亮がどのようなつもりなのか、探って報告してくれ。」

翌日魯粛は、諸葛亮の所へ行きました。

諸葛亮「三日以内に十万の矢を作らなければなりません。魯粛殿少しお手伝い
     願えますかな。」

魯粛「あれは、全部自分で言い出したことでしょう。提督は、十日と言ったのに・・」

諸葛亮「もし十日掛けても、十万本の矢は、完成しないでしょう。
     提督に邪魔をされて。」

魯粛「・・・・で、私はどうすればよろしいのですか?」

諸葛亮「まず、20隻の船を用意して、各船の上に兵士を20名用意してください。
     わらの束を一千束ほど用意して、それを船の両側に並べてください。
     そして青い布で船を覆ってもらいたい。
     私に、名案があります。三日以内に10万の矢を作って見せましょう。
     でも提督には、この事は教えないで頂きたい。もし提督がこの事を知れば、
     この事を許可して下さらぬかも、知れませんから。お願いしますよ、魯粛殿」

魯粛は、「わ、分かりました」
と答えたが、諸葛亮がどの様に矢を作るのかわからなかった。

そこで、魯粛は周瑜に報告に行った。
魯粛は船の事は言わずに、ただ、この様に答えた。

魯粛「諸葛亮は、竹も羽毛も糊などの材料は、一切使うつもりは無い様子です。」
魯粛「どうするつもりでしょうか?」

周瑜「どうするつもりだろうか?三日後が楽しみだ。」

魯粛は、自分で足早の船を20隻選び、各船の上に兵士を20名ずつ配置させ、
諸葛亮の言うとおりに、青い布とわらの束を配置しました。
その後、諸葛亮に準備が出来た事を報告をしました。

ところが、一日目、諸葛亮に、動く気配はありません。

二日目も、相変わらず、諸葛亮に動く気配はありません。

ついに最後日が訪れました。そして諸葛亮が動きました。
夜明け前に、諸葛亮はこっそりと魯粛をつれて、船の止めてある所
にやってきました。

魯粛「こんな朝早くに、こんな所に連れて来てどうするおつもりです?」

諸葛亮「これから、矢を取りに行くんですよ。一緒に行ってくれませんか?」

魯粛「なにをおっしゃる。どこに取りに行くと言うのですか?」

諸葛亮「ついて来れば、すぐに分かりますよ。さあさあ行きましょう。」

諸葛亮は、20隻の船を縄で繋いで、北の岸に向かって、行くように言いました。
この時、川の向こう岸が、見えないくらいのすごい霧が出ていました。

空が、まだ暗い内に、船は曹操の水軍に近づいていました。
諸葛亮は、船の後部を東に向け、船が一列に並ぶようにしました。
そして、兵士に向かって、太鼓を叩きならが、大声で叫ぶように言いました。

兵士「ドンドンドン わあーーー ドンドン わあーーー」

魯粛は驚いて、
魯粛「もし、敵兵が出てきたら、どうするおつもりですか?」

諸葛亮「はっはっはっ、このような、濃霧では、曹操は絶対に出兵してこないでしょう。
     私達は、お酒でも飲みながら、気長に待ちましょう。そして空が明るくなった
     ら戻るとしましょう。」

曹操は、太鼓と兵士の叫び声を聞き、すぐに兵士に命令しました。
曹操「これは何と言う凄い霧だ、敵の様子が全然わからないぞ。
   奇襲攻撃だから、必ず何かあるに違いない。うかつに出兵するな!
   ここは弓兵を使って、やつらに攻撃しろ!やつらをここに近づけるな!」

曹操は、陸の砦から、6千名の弓兵を引き連れて、水軍の応援に駆けつけました。

曹操「攻撃開始」

の声共に、一万以上の弓兵が、一斉に川の中に弓を放ちました。
まさに、弓の雨が降り続けました。

諸葛亮は、このままの陣形で、更に曹操の水軍に近づくように命令しました。
空が、だんだん明るくなって来たましたが、濃霧は一向に晴れる様子はありませ
ん。すでに、船の両側に並んだ、わらには凄い数の矢が、刺さっていました。

兵士達は、「曹操丞相の矢、ありがたく頂戴します。」に一斉に叫ぶと、
南岸に引き返していきました。

これを、知った曹操は、すぐ追いかけましたが、追い風の影響で、すでに二十里
以上離れていた為、追いつけませんでした。

海岸に着くと、周瑜が、五百の兵士と共に待っていました。
魯粛は、すぐ周瑜に事の次第を全て話しました。

諸葛亮「各船に約五、六千の矢があるでしょう。二十隻全てで、十万以上は、
     在るはずです。どうぞ!提督お納め下さい。」

周瑜「さすがは、諸葛亮先生感服いたしました。見事な妙計!私の及ぶところでは
    ございません!」




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